日本銀行は金融政策決定会合で追加利上げを行い、政策金利を0.25%程度まで引き上げることを決めました。暮らしや円安にどんな影響が出てくるのか。経済部・日銀担当キャップの渡邊翔記者が解説します。
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■暮らしや円安に影響は?
鈴江奈々キャスター
「31日午後5時現在の円相場は1ドル=150円58銭で推移していますが、追加利上げの影響はどう見たらいいのでしょうか?」
経済部・日銀担当キャップ 渡邊翔記者
「かなり大きく出ているかなと思います。歴史的な物価高の要因だった円安ですが、日銀の利上げ決定直前は152円台半ばでしたから、2円近く円高に進んだことになります。利上げに加えて、植田総裁が会見で、この先の利上げに関する考え方なども話したので、ある種、ダブルの効果で円高に進んでいるのかなと思います」
鈴江キャスター
「私たちの暮らしへの影響という点では、どうでしょうか?」
渡邊キャップ
「金利が上がると、私たちにはプラス、マイナス両方の影響が出てきます。例えば普通預金や定期預金などの預金金利は上昇する見込みで、これはプラスです」
「一方で、住宅ローンの金利は上がってきます。特に今回は、変動型金利の利率が変わってきそうです。新規に貸し出しする場合は早ければ9月から、既に借り入れている人は来年の1月から、金利が上がる可能性が出てきます」
「特に住宅ローンの残高が多い20代~40代の人たちにとっては影響が大きく、例えば30代の人の家庭で月7000円ほどの負担増になる、という試算も出ているんです」
■追加利上げ、なぜ決断
鈴江キャスター
「預金のある人にはプラス、そしてローンがある人にはマイナスの影響があるということですが、ではなぜ日銀は今回、このタイミングで追加利上げを決めたんでしょうか?」
渡邊キャップ
「実は今回、日銀が利上げ判断にあたって心配して、見極めようとしていた大きな要素のひとつが、弱い状態が続いていた『個人の消費』の動向でした」
「利上げは、理論的には経済を冷やしてしまう効果があるので、それによってさらにみんなが節約志向にならないかどうかというところでしたが、植田総裁は、賃上げの広がりが今後の個人消費を支えていくので、消費は増加していくと見通しを示しました。私たちは実際、今後の消費の伸びを予感させるような、ある現場を取材してきました」
渡邊キャップ
「都内の百貨店では、いま10万円、20万円するアクセサリーや高価格帯の化粧品が、若い世代への売れ行きも好調だというんです。担当者の方は『人へのプレゼントというよりも、自分の気分が上がるような価値のあるものを、高価格帯でも購入される人が多い』と話していました」
「所得に余裕が出たり、賃金が上がっていくという期待が高まってきたことで、高価格帯のものに手を出す人が出てきた可能性もあります。なので、日銀としても、こうした“兆し”を前向きに評価して、判断材料のひとつにした可能性があります」
渡邊キャップ
「ただ、日銀にとっては今後も気が抜けない状況が続きます。9月の自民党総裁選や11月のアメリカ大統領選挙など、日本経済の行方も左右する政治イベントが、秋には待ち受けています。引き続き日本経済にとって、正念場が続きそうです」
(2024年7月31日放送「news every.」より)
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