コロナ禍で業績が悪化した企業を支援するために政府が設けた無利子・無担保のいわゆる「ゼロゼロ融資」。今月から返済が本格化しますが、借りたまま倒産する企業も増加しています。
埼玉県の金型工場。職人が作っているのは、薬の性能を試す器具の金型です。
狭山金型製作所 大場総一郎 社長
「非常に繊細な作業です。数ミクロン(1000分の1ミリ)という単位」
その技術力から海外からも注文が来ていますが、いま「ゼロゼロ融資」の返済に直面しています。
狭山金型製作所 大場総一郎 社長
「我々が借りたのは4000万円。雇用を守るのが一番重要な要素だった」
コロナ禍で売り上げが2割ほど減少。給料の支払いなど資金繰りに不安を感じ、融資を受けました。その後、経営の見通しも立ち、翌年には世界でも珍しい樹脂製の注射針の開発・量産に乗り出します。
しかし、ここ1年でコロナ以外の新たな“逆風”が吹き始めたといいます。
狭山金型製作所 大場総一郎 社長
「弊社の場合は特に電気代、1割から2割は上がっている」
電気代の高騰や原材料価格の値上がりで、生産コストが増加。価格転嫁が進まない中、さらに融資の返済が始まるのです。
総額およそ43兆円に上る「ゼロゼロ融資」。コロナという緊急事態の中、利子がゼロ、担保もいらないという破格の貸し付け条件で始まりました。
ただ、問題も…
帝国データバンク 情報統括部 藤井俊 部長
「(一部では)経営者そのものが借金に借金を重ねてる状況で、『返せません』という状況が生まれている」
身の丈にあわない借金をして企業を延命させるだけとの批判もあった「ゼロゼロ融資」。“貸し倒れ”も目立ってきています。今年上半期の「ゼロゼロ融資後倒産」は304件となり、半期では過去最多に。
こうした中、中小企業への支援も始まりました。
埼玉りそな銀行 入間支店 金田晋 支店長
「本部を通じて各支店の取引先に声かけをして、いわゆるビジネスマッチングですね」
埼玉りそな銀行では「ゼロゼロ融資後倒産」を防ぐため、コンサルティングを強化。資金繰りの支援に加え、販路拡大のために取引先の紹介するなどアドバイスを行っていて、こちらの企業も新規の受注が増えたといいます。
コロナ禍で打撃を受けた企業を支えてきた「ゼロゼロ融資」。ただ借りた企業が倒産した場合、「焦げ付き」の一部は国民の税金で穴埋めされることになります。
倒産を防ぐために、企業には収益力を高める努力が求められるほか、そうした企業への支援が必要です。
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